EXPERIMENT No.07 / WORK & TIME

なんで働くの?
働くとは?

まず「働く=会社に雇われて給料をもらうこと」を疑います。お金を得る仕事、家事・育児・介護、学び、自由時間、資産、共同家計を分けて、30年後に何が残るかを見ます。

FIRST: DEFINE THE WORD

「働く」と「就業」は同じじゃない

仕事・労働(work)
ILOでは、他人または自分のために財やサービスを生み出す活動を広く work と定義します。
ILO
就業(employment)
work の中でも、賃金や利益と引き換えにする仕事。つまり「働いている」と「雇われている」は同義ではありません。
家事・育児・介護
自分や家族のためのサービスを作るので、ILOの枠組みでは自家使用生産労働に含まれます。無給でも work です。

逆に、睡眠や純粋な学習などは通常この統計上の work には入りません。学ぶことに価値がないという意味ではなく、概念を分けているだけです。

WHY WORK?

なぜ働くの?を分解する

💴 現金を得る
自分では作れない食料・家・医療などを他人から買うため。
🏠 自分で作る
料理、掃除、育児、介護などを自分で行えば、買わずに済むサービスもあります。
🧠 将来の選択肢を増やす
学習や技能投資は将来の賃金や選択肢を変えるかもしれません。ただし自動的に報われるとは置きません。
🕰️ 時間を使う
有償労働も無償労働も時間を使います。だから「稼いだ額」だけでは人生を評価しません。
SET YOUR LIFE

あなたの条件を置く

共同家計から入る現金 / 年
本人の給料とは別の家計収入。開始資産とは独立です。
開始資産
共同家計収入とは別に設定します。
資産の置き場所
将来リターンを予言するものではなく、資産がある場合の経路差を見るゲーム仮定。
時給
単純なゲーム設定です。
有償労働 / 週
35h
家事・ケア / 週
15h
学習 / 週
4h

v1.40監査修正:共同家計収入と開始資産を別変数にしました。以前は「共同家計あり」に開始資産500万円も同時付与していたため、どちらが効いたか分けにくい状態でした。家事・ケアは、表示上の外注換算1,500円/hと、家計支出を減らすゲーム仮定600円/hを別概念として扱います。
モデル上は週70時間を「仕事・家事・学習・自由時間」に使える活動枠とします。睡眠や食事などの基礎時間は外に置いています。

MODEL BOUNDARY

この実験でまだ言えないこと

仕事の意味、自己実現、孤独、社会的地位、職場の人間関係、社会保険、実際の税制、配偶者との関係、子どもの事情などは十分にモデル化していません。だから「働くべき/働かないべき」の道徳的な答えは出しません。ここで見るのは、生活資源をどこから得て、どこに時間を使うかです。

HUMAN BEHAVIOR HYPOTHESIS

なぜ、人は「働かない人」「努力が少なく見える人」を嫌うことがある?

仮説 / 未検証
まず分ける:
その人の分まで本当に自分が負担しているなら、不公平感には実際の利害があります。ここで考えたいのは、自分に直接の損がほぼなくても、嫌味・非難・嫉妬・「もっと苦労しろ」が出るのはなぜか、という部分です。
この実験との接続
有償労働をしていない人を「何もしていない」と判断すると、家事・育児・介護・過去の蓄積・共同家計など見えにくい貢献が消えます。仕事規範と“見える労働”への偏りが、非難を作る可能性があります。
仮説A 「ただ乗り」を監視する脳
人間は協力集団で暮らしてきたため、「利益を受け取るなら貢献もしてほしい」という規範に敏感なのかもしれません。実験研究では、非協力者を自分が損してでも罰する行動が観察されています。問題は、本当はただ乗りしていない人まで誤認して罰する可能性があることです。
仮説B 自分の苦労を無駄にしたくない
人は大きな努力を払ったものほど、その対象や成果を高く評価しやすい「努力正当化」の傾向があります。自分が長時間働いたあとで、他人が少ない努力で同じ場所へ着くと、自分の犠牲の意味が揺れるため、相手を「楽している」と価値下げする可能性があります。
仮説C 「努力した人が報われるべき」という物語
努力・能力・責任で結果が決まるというメリトクラシー観は分かりやすい世界説明です。そこから外れる人が現れると、「不公平」「ずるい」と感じやすくなるかもしれません。逆に、失敗者を「努力不足」と内部要因だけで説明しやすくなる可能性もあります。
仮説D 上方比較と「ふさわしくない成功」
自分より楽そうなのに、同じか上の生活をしている人は比較対象になります。研究では、相手の優位を「本人にふさわしくない」と感じるほど、建設的な羨望よりも、相手を下げたい悪意ある嫉妬に結びつきやすいことが示されています。
仮説E 見えない貢献はゼロ扱いされやすい
給料・出勤・残業は見えやすい一方、家事、育児、介護、過去の貯蓄、リスクを取った時期、仕組み化、資産管理は外から見えにくい。観察者が見える情報だけで判断すると、「働いていない=何もしていない」という誤分類が起きます。
仮説F 嫌味は「規範を守らせる信号」でもある
「普通は働くでしょ」「そんな楽してていいの?」という言葉は、個人感情だけでなく、周囲に「この行動は認めない」と知らせる社会的制裁として機能する可能性があります。協力維持には役立つ一方、古い規範が環境変化後も残ると、不要な攻撃にもなります。
このサイトでの暫定仮説
「働かない人が嫌われる」「努力薄型が嫌味を受ける」を嫉妬だけで説明しない。①実際の負担移転、②協力規範、③努力正当化、④メリトクラシー、⑤社会比較、⑥見えない貢献の誤認が重なった結果ではないか、と置きます。今後はこの仮説自体もBOTで検証対象にします。
研究上の手掛かり: 公共財ゲームでは非協力者への costly punishment が観察され、協力維持との関係が報告されています。仕事規範が強い社会ほど失業者へのスティグマが強いという研究、努力が成果の価値を高める「effort justification」、成功の deservingness が悪意ある嫉妬と関係する研究もあります。これらは今回の個別ケースの原因を証明するものではなく、仮説を作るための外部知見です。
Nature: Altruistic punishment / Social norm to work / The Effort Paradox / Deservingness and envy / Meritocracy review
EASY MODE / FOR EVERYONE

🧒 小学生でもわかる解説

何をくらべてるの?
本人が働く時間、家事・ケア、共同家計の収入、持っている資産を変えて30年を比べます。
超かんたんに言うと:
生活に必要なお金を手に入れる方法は「本人が長時間働く」だけではありません。家計収入や資産があれば、必要な有償労働の量は変わります。家事や自由時間も消えているわけではありません。

ここだけ注意: 「働かなくていい」が正解という実験ではありません。どの資源を使って生活を支えているかを分けて見ます。

難しい数字や研究用語が分からなくても、まずここだけ読めば「この実験で何を見ているか」が分かるようにしています。

SUPPORT / 研究費

☕ この実験室に研究費を投げる

面白かった実験が1つでもあった人向け。はてな日和は全ページ無料のまま、OFUSEから任意で研究費を投げられます。

OFUSEで研究費を投げる ↗
支援しなくても、閲覧できる内容や実験結果は変わりません。